マンションの給水方式の種類は?
2025/4/21
マンションで給水をする方法はひとつではなく、さまざまな種類があります。そこで今回は、マンションの給水方式の主な種類と、給水方式ごとのメリットとデメリットをご紹介します。
マンションの給水方式の種類
マンションの給水方式は、大別して直結給水方式と貯水槽給水方式の2種類です。そこから、直結給水方式は「直結直圧方式」と「直結増圧方式」に、貯水槽給水方式は「高置水槽方式」と「加圧給水方式」に分けられます。ここからは、それぞれの種類の概要や特徴をご紹介します。
直結直圧方式(直結給水方式)
直結直圧方式は、水道本管から給水管を直接分岐し、各戸に給水する方式です。水道本管の給水圧力そのものを利用しているため、受水槽やポンプが不要であるという点が最大の特徴です。一般的に3階までの低層建物や戸建住宅に用いられます。そのため、マンションでは使われる機会の少ない給水方式です。
直結増圧方式(直結給水方式)
直結増圧方式は、水道本管から引き込んだ水を、増圧ポンプユニットを使って各戸に給水する方式です。直結直圧方式と同様に受水槽は不要で、ポンプを利用するという点に違いがあります。中高層建物向けの給水方式で、マンションで使われることも多い方式です。また、直結直圧方式では送水圧力が足りない場合に用いられる方式でもあります。
高置水槽方式(貯水槽給水方式)
高置水槽方式は、受水槽に貯めた水を揚水ポンプを用いて屋上に設置した高置水槽に送り、重力を活用して各家庭に送る方式です。断水時でも高置水槽内の水を利用できるという点が大きな特徴であり、短時間であれば断水の影響を受けません。
加圧給水方式(貯水槽給水方式)
加圧給水方式は、受水槽に貯水して各家庭に加圧ポンプで水を送る方式です。高置水槽方式と同様に受水槽はありますが、高置水槽はない点に違いがあります。災害や停電などで加圧ポンプが停止すると断水しますが、貯水槽内に残っている水は利用できます。
直結給水方式のメリット
直結給水方式を選ぶことで、以下のメリットが得られます。
・貯水槽が不要
・スペースを有効活用できる
・衛生的な水を利用できる
・ランニングコストが低い
それぞれについて詳しく解説します。
貯水槽が不要
貯水槽は、水道法によって有効容量が10㎥を超える場合、年1回の清掃と水質検査が義務付けられています。清掃と検査には費用がかかり、毎年の清掃と検査を面倒に感じる人は少なくありません。しかし、貯水槽が不要な直結給水方式であれば、貯水槽の点検や清掃が不要になるため維持管理の手間が減ります。
また、貯水槽の設置スペースを確保する必要がないため、広いスペースを確保できなくても利用できる点もメリットです。
スペースを有効活用できる
スペースを有効活用できる点もメリットです。これは、前述の通り貯水槽を設置するスペースがいらないためです。直結給水方式を選択すれば、貯水槽のスペースを別のことに活用できます。駐車場や駐輪場、倉庫などとして有効活用することで、利用者の満足度向上につなげることも可能です。
衛生的な水を利用できる
他の給水方式と比べて、衛生的な水を利用できる点もメリットです。直結給水方式が衛生的な水を確保できる理由は、水道本管から供給される水を直接給水できるためです。貯水槽が必要な給水方式では、一度貯水槽に水を貯めてから水が各部屋に供給されます。
もし、点検や清掃が適切にできていない貯水槽を介した場合、貯留中に水質変化が起こる可能性もあります。安全な水を安定して給水できる点は、貯水槽が不要な直結給水方式のメリットです。
ランニングコストが低い
ランニングコストが低いこともメリットの一つです。直結給水方式のランニングコストが低い理由は、貯水槽の清掃や点検などのメンテナンスがないことです。前述の通り、有効容量が10㎥を超える貯水槽の場合、最低年に1回は清掃や点検をしなければなりません。清掃や点検は業者に依頼するため、費用がかかります。
しかし、直結給水方式は貯水槽がないため定期的な清掃や点検が必要なく、その分ランニングコストを抑えられます。ただし、直結増圧方式の場合は増圧ポンプの定期メンテナンスが必要です。
直結給水方式のデメリット
直結給水方式は貯水槽が不要なことでさまざまなメリットがあります。一方で、貯水槽がないことは水の貯留ができないため、災害時や断水時に給水できなくなる点がデメリットです。そのため、災害時や断水時にはどのような対応をするのかを事前に決めたり、いち早く復旧するための対策やマニュアルを作成したりしましょう。
また、直結増圧方式のデメリットとして、増圧ポンプに不具合が出てしまうと断水する可能性がある点が挙げられます。増圧ポンプに不具合が生じないように、定期メンテナンスは欠かさず行いましょう。
貯水槽給水方式のメリット
貯水槽を設置する貯水槽給水方式は、停電時や災害時に断水しにくい点がメリットです。なぜなら、貯水槽給水方式は貯水槽や高架水槽に水をストックできるためです。万が一停電や災害が発生しても、貯水槽に貯められている水から供給ができます。
また、貯水槽に水が貯められることで、短時間に大量の水を使う際も対応できる点もメリットです。そのため、水の一時的な大量使用にも対応しやすいという特徴があります。
貯水槽給水方式のデメリット
貯水槽給水方式のデメリットは、定期的な清掃やメンテナンスが必要であることです。水を貯水槽に貯めて給水するため、衛生的な水を供給するためには、定期的な清掃やメンテナンスは欠かせません。有効容量が10㎥を超える貯水槽は法律で年に1回の清掃やメンテナンスを義務付けられていますが、それ以下の容量であったとしても定期的に行うことが大切です。
また、貯水槽や高架水槽を設置するためのスペースが必要になるため、十分なスペースを確保できないと、貯水槽給水方式は利用できません。
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まとめ
マンションの給水方式はそれぞれに特徴があり、メリットとデメリットがあります。それぞれの方式についての理解を深め、どの給水方式がよいかを検討しましょう。